恐怖と強欲指数とは?
日本株版の6つの指標と計算方法をやさしく解説|Fear & Greed Index Japan
「恐怖と強欲指数(Fear & Greed Index)」は、株式市場に参加する人たちの心理が、「恐怖」と「強欲」のどちらに傾いているかを0〜100の数値で表した指標です。もとになったのは米国のCNN Businessが公表している指数で、当サイトではそれとは別に、日本株向けの指数を独自に計算しています。この記事では、当サイトの日本株版の恐怖と強欲指数が、どのようなデータから、どのように計算されているのかを、計算例を使ってやさしく解説します。数値の意味を知っておくと、日々の指数の動きがぐっと読みやすくなります。
掲載日:2026年10月18日(日)|この記事は、当サイトの指数の仕組みを説明する解説記事です。日々の指数の値はダッシュボードと市況ブログでご確認いただけます。
この記事のポイント
- 恐怖と強欲指数は、市場の心理を0〜100で表す指標です。低いほど恐怖、高いほど強欲を示します。
- 当サイトの日本株版は、株価の勢い・値動き・短期の過熱感・為替・国債など6つの指標を組み合わせています。
- 各指標は過去1年の中での位置で0〜100に換算し、ウェイトを掛けて合計した後、直近3営業日の平均を表示します。
- 指数は売買の合図ではなく、市場の温度計として使うのが基本です。
① 0〜100の数値と5つの区分
表1:恐怖と強欲指数の5つの区分
| 数値 | 区分 | 市場の状態の目安 |
|---|---|---|
| 0〜24 | 極度の恐怖 | 不安が極端に強まり、売りが売りを呼びやすい状態 |
| 25〜44 | 恐怖 | 慎重な姿勢が広がり、様子見が増える状態 |
| 45〜54 | 中立 | 恐怖と強欲が拮抗し、方向感を探っている状態 |
| 55〜74 | 強欲 | 上昇への期待が高まり、買いが優勢な状態 |
| 75〜100 | 極度の強欲 | 楽観が極端に広がり、過熱感が意識される状態 |
数値が低いほど市場は「恐怖」に、高いほど「強欲」に傾いていることを示します。50前後は、どちらにも大きく傾いていない「中立」の状態です。大切なのは、この数値が株価の水準そのものではなく、「いまの市場参加者の心理の偏り」を表している点です。同じ日経平均の水準でも、そこに至るまでの動き方によって指数は大きく変わります。
② 日本株版を構成する6つの指標
表2:当サイトの日本株の恐怖と強欲指数を構成する6つの指標
| 指標 | 見ているもの | ウェイト | 点数が高くなる(強欲寄り) | 点数が低くなる(恐怖寄り) |
|---|---|---|---|---|
| 市場モメンタム | 日経平均と125日移動平均線との乖離率 | 25% | 株価が半年ほどの平均を大きく上回っている | 株価が半年ほどの平均を下回っている |
| 変動性 | 株価の20日変動率(年率) | 25% | 値動きが落ち着いている | 値動きが荒くなっている |
| 株価の強さ | 株価の20営業日の騰落率 | 15% | この1か月ほどで大きく上がっている | この1か月ほどで大きく下がっている |
| 短期の過熱感 | 株価のRSI(14日) | 15% | 短期的に買われすぎている | 短期的に売られすぎている |
| 為替(円) | ドル円の20営業日の変化 | 10% | 円安が進んでいる | 円高が進んでいる |
| 安全資産への選好 | 株と国債の20営業日の騰落率の差 | 10% | 国債より株が選ばれている | 株より国債が選ばれている |
6つの指標は、大きく3つのグループに分けられます。1つめは株価そのものの動き(市場モメンタム、株価の強さ、短期の過熱感)、2つめは値動きの荒さ(変動性)、3つめは株以外の市場の動き(為替、国債)です。株価の動きだけでなく、為替や国債の動きを組み込んでいるのが、日本株版の特徴です。
表3:それぞれの指標が市場の心理を表す理由
| 指標 | なぜ心理を表すのか |
|---|---|
| 市場モメンタム | 株価が長めの平均を大きく上回っているときは、強気の参加者が多いと考えられます。下回っているときは、弱気が広がっていると考えられます |
| 変動性 | 相場が急に下がる局面では値動きが荒くなりやすく、不安の強まりを表します。値動きが落ち着いているときは、安心感が広がっていると考えられます |
| 株価の強さ | 直近1か月ほどの騰落率で、短めの期間の勢いを見ます |
| 短期の過熱感 | RSIは、一定期間の値上がりと値下がりの大きさを比べた指標です。高いほど買われすぎ、低いほど売られすぎとされます |
| 為替(円) | 日本株は、円安が輸出企業の業績の追い風になりやすいことから、円安の進み方を強気の材料として扱います |
| 安全資産への選好 | 不安が強まると、株より値動きの小さい国債にお金が移りやすくなります。株と国債の騰落率の差で、その動きを見ます |
③ 計算の流れ:3つのステップ
表4:日本株の指数の計算の流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 過去1年の中での位置を調べる | 各指標の今日の値が、過去1年(約250営業日)の値の中でどのくらいの位置にあるかを0〜100の点数にします。過去1年で最も強気寄りの水準なら100に近く、最も弱気寄りなら0に近くなります |
| 2. ウェイトを掛けて合計する | 6つの点数に、それぞれのウェイト(25%・25%・15%・15%・10%・10%)を掛けて合計します。当サイトでは、この値を「日次の素値」と呼んでいます |
| 3. 直近3営業日の平均をとる | 日次の素値の、直近3営業日の平均を、その日の指数として表示します |
ステップ1で「過去1年の中での位置」を使うのは、指標ごとに単位も動く幅も違うためです。たとえば、移動平均線との乖離率と、ドル円の変化率をそのまま足し合わせることはできません。それぞれを「過去1年の中でどのくらい強気寄りか」という共通の物差しにそろえてから合計しています。
④ 計算例(仮の数値)
表5:ある日の日次の素値の計算例(説明用の仮の数値)
| 指標 | 点数(仮) | ウェイト | 点数×ウェイト |
|---|---|---|---|
| 市場モメンタム | 60 | 25% | 15.00 |
| 変動性 | 40 | 25% | 10.00 |
| 株価の強さ | 55 | 15% | 8.25 |
| 短期の過熱感 | 70 | 15% | 10.50 |
| 為替(円) | 80 | 10% | 8.00 |
| 安全資産への選好 | 50 | 10% | 5.00 |
| 合計(日次の素値) | 100% | 56.75 |
この例では、6つの点数にウェイトを掛けて合計すると、日次の素値は約57になります。前の2営業日の素値が50と45だったとすると、その日に表示される指数は(56.75+50+45)÷3=約51で、「中立」の区分です。
3営業日の平均をとるため、その日だけ株価が大きく動いても、指数はゆっくり動きます。反対に、平均から外れる日の素値が高いか低いかによって、「株価が上がったのに指数が下がる」「株価が下がったのに指数が上がる」ことも起こります。当サイトの市況ブログでは、こうした日にその理由を表で説明しています。
⑤ なぜ3営業日の平均を使うのか
表6:その日の値と3営業日の平均の違い
| その日の素値をそのまま表示 | 3営業日の平均で表示(当サイト) | |
|---|---|---|
| 日々の振れ | 大きい。1日の値動きで区分が大きく変わりやすい | 小さい。区分の変化が落ち着いて見える |
| 変化への反応 | 速い | 少し遅れる |
| 向いている使い方 | その日の値動きの強さを知る | 市場の雰囲気の流れを知る |
恐怖と強欲指数の目的は、その日の値動きを測ることではなく、市場の雰囲気の「流れ」を知ることです。1日だけの急な上げ下げに振り回されないよう、当サイトでは3営業日の平均を採用しています。その代わり、変化への反応は少し遅れます。当サイトの市況ブログでは、平均する前の「日次の素値」もあわせて紹介し、その日の動きも分かるようにしています。
⑥ CNNの米国版との違い
表7:日本株版と米国株版の違い
| 項目 | 日本株版(当サイト) | 米国株版(CNN Business) |
|---|---|---|
| 対象 | 日経平均など日本株 | S&P500など米国株 |
| 指標の数 | 6つ | 7つ |
| 主な指標 | 株価のモメンタム・強さ・過熱感、変動性、為替、国債との比較 | 株価のモメンタム、株価の強さ、株価の幅、プット/コール比率、市場の変動性(VIX)、ジャンクボンド需要、安全資産への需要 |
| 特徴 | 為替(ドル円)を組み込んでいる | オプションや社債の市場の動きを組み込んでいる |
| 当サイトでの表示 | 当サイトが独自に計算した値 | CNN Businessの公表値をそのまま表示 |
日本株版と米国株版は、構成も計算方法も異なります。そのため、日本株が30で米国株が40だったとしても、「日本の方が10ポイント悲観的」と単純に比べることはできません。それぞれの推移や、区分の変化を見るのが適した使い方です。そのうえで、日米の指数が同じ方向に動いているか、離れているかを見ると、市場ごとの事情を考える手がかりになります。
⑦ よくある誤解
表8:恐怖と強欲指数についてのよくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 「極度の恐怖」は買いの合図 | 指数は将来の値動きを予測しません。恐怖の水準からさらに下がることもあります |
| 指数が高いほど株価が高い | 指数は株価の水準ではなく、心理の偏りを表します。株価が高値圏でも、勢いが鈍れば指数は下がります |
| 毎日の上下が大事 | 1日の変化より、区分の変化や1週間・1か月の流れを見る方が役立ちます |
| 指数だけで判断できる | 企業業績、金利、為替、経済指標など、ほかの情報とあわせて判断することが大切です |
過去のデータで、指数の区分ごとにその後の日経平均がどう動いたかは、当サイトの統計データのページで確認できます。指数の読み方の基本や、ほかの指標との違いは投資ガイドでも紹介しています。
恐怖と強欲指数は、数字が1つだけなのでとても分かりやすい反面、「なぜこの数字なのか」が見えにくい指標でもあります。そこで今回は、当サイトの計算方法をできるだけそのままお伝えしました。
法人営業でも、取引先の状況を1つの点数で評価する仕組みは便利ですが、点数の内訳を知らないと、思わぬ判断の誤りにつながります。数字を使う人が中身を理解していることが、数字を正しく使う一番の近道だと考えています。
日々の市況ブログでは、6つの指標の内訳もあわせてお伝えしています。この記事とあわせてご覧いただければ、指数の動きがより読みやすくなると思います。
※運営者の個人的な見方であり、特定の金融商品の売買を勧めるものではありません。
⑧ 用語ミニ解説
表9:この記事に出てきた用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 移動平均線 | 一定期間の終値の平均をつないだ線。125日線はおよそ半年分の平均 |
| 乖離率 | 株価が移動平均線からどれだけ離れているかを示す割合 |
| 変動率(ボラティリティ) | 価格の変動の大きさ。年率に換算して比べることが多い |
| RSI | 一定期間の値上がり幅と値下がり幅から計算する、買われすぎ・売られすぎの目安 |
| 営業日 | 取引所が開いている日。土日・祝日などを除く |
まとめ
- 恐怖と強欲指数は、市場の心理を0〜100で表す指標です。
- 当サイトの日本株版は、6つの指標を過去1年の中での位置で点数化し、ウェイトを掛けて合計しています。
- 表示する指数は直近3営業日の平均で、日々の振れをならしています。
- 指数は売買の合図ではなく、市場の温度計として、ほかの情報とあわせて使うのが基本です。
本記事は恐怖と強欲指数の仕組みについての情報提供であり、特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任で行ってください。