「極度の恐怖」のあと日経平均はどう動いた?
恐怖と強欲指数で約8年分を検証|Fear & Greed Index Japan
日米差(日本−米国):−3(米国株が上) 日本株の指数は10月21日から「極度の恐怖」の区分にあります。
当サイトの日本株の恐怖と強欲指数は、10月21日に「極度の恐怖」(0〜24)の区分に入り、23日には18まで下がりました。「極度の恐怖」は、市場の不安が極端に強まった状態を表します。では、過去に指数がこの区分にあったとき、その後の日経平均はどう動いたのでしょうか。この記事では、当サイトの指数を2018年5月から2026年10月まで約8年分さかのぼって計算し、「極度の恐怖」の日から5・20・60営業日後の日経平均の騰落率を集計しました。全期間の平均やほかの区分と比べたうえで、数字を読むときの注意点もあわせて整理します。
掲載日:2026年10月24日(土)|集計期間:2018年5月25日〜2026年10月23日(2,053営業日)|データは当サイトの統計データのページと同じものです。
この記事のポイント
- 約8年間で、指数が「極度の恐怖」だったのは314営業日(全体の15.3%)、局面の数は37回でした。1回の平均の長さは8.5営業日です。
- 「極度の恐怖」の日から20営業日後の日経平均の騰落率は、中央値で+2.26%と、全期間(+1.23%)を上回りました。上がった割合は65.3%です。
- 一方で、5営業日後には−18.22%という大きな下落もありました。短期(5営業日後)の下位10%の水準は全期間より低く、目先の値動きの幅が大きいのが特徴です。
- 「極度の強欲」の後も20営業日後の成績は高く、「恐怖なら買い、強欲なら売り」と単純には言えない結果でした。
① 検証の方法
表1:検証の条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の期間 | 2018年5月25日〜2026年10月23日(2,053営業日) |
| 使った指数 | 当サイトの日本株の恐怖と強欲指数(6つの指標を過去1年=250営業日の中での位置で点数化し、直近3営業日の平均で表示) |
| 過去の指数の計算 | 各日について、その日までに手に入るデータだけで計算(後から分かったデータは使わない) |
| 比べたもの | 指数がある区分にあった日の日経平均の終値と、5・20・60営業日後の終値の騰落率 |
| 含めていないもの | 配当、売買の手数料、税金 |
| 比較の基準 | 全期間のすべての日の騰落率(区分を問わない) |
ポイントは、過去の指数を「その日までのデータだけ」で計算していることです。後から分かった情報を使うと、実際よりも都合のよい結果が出てしまうためです。また、日経平均はこの期間に大きく上がっているため、区分を問わず「上がった割合」は5割を超えます。各区分の数字は、必ず全期間の数字と比べて見る必要があります。
② 「極度の恐怖」はどのくらいの頻度で起きたか
表2:区分ごとの出現頻度(2018年5月〜2026年10月)
| 区分 | 日数 | 全体に占める割合 | 局面の数 | 1回の平均の長さ |
|---|---|---|---|---|
| 極度の恐怖 0〜24 | 314日 | 15.3% | 37回 | 8.5営業日 |
| 恐怖 25〜44 | 553日 | 26.9% | 92回 | 6.0営業日 |
| 中立 45〜54 | 313日 | 15.2% | 109回 | 2.9営業日 |
| 強欲 55〜74 | 536日 | 26.1% | 87回 | 6.2営業日 |
| 極度の強欲 75〜100 | 337日 | 16.4% | 32回 | 10.5営業日 |
「極度の恐怖」は全体の15.3%で、約8年間に37回ありました。単純に計算すると、1年に4回ほどのペースです。1回の平均の長さは8.5営業日と、「中立」(2.9営業日)や「恐怖」(6.0営業日)より長く続く傾向があります。いったん入ると、すぐには抜けにくい区分だと言えます。なお、反対側の「極度の強欲」も平均10.5営業日と長く、両端の区分ほど続きやすい特徴が見られます。
③ 「極度の恐怖」のあとの日経平均:全期間との比較
表3:「極度の恐怖」の日からの日経平均の騰落率(中央値)と上がった割合
| 期間 | 極度の恐怖(中央値) | 全期間(中央値) | 差 | 極度の恐怖(上がった割合) | 全期間(上がった割合) | 件数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 5営業日後(約1週間) | +0.84% | +0.37% | +0.47pt | 62.4% | 56.1% | 311件 |
| 20営業日後(約1か月) | +2.26% | +1.23% | +1.03pt | 65.3% | 60.4% | 311件 |
| 60営業日後(約3か月) | +4.64% | +2.33% | +2.31pt | 67.2% | 61.4% | 290件 |
「極度の恐怖」の日から20営業日後の騰落率の中央値は+2.26%で、全期間(+1.23%)を+1.03ポイント上回りました。60営業日後では+4.64%と、全期間(+2.33%)の約2倍です。上がった割合も、5・20・60営業日後のいずれも全期間を約5〜6ポイント上回っています。過去約8年に限れば、不安が極端に強まった時期のあとは、平均よりも株価が戻る傾向があったことになります。
表4:「極度の恐怖」の日からの騰落率のばらつき
| 期間 | 下位10%の水準 | 上位10%の水準 | 最も大きな下落 | 最も大きな上昇 |
|---|---|---|---|---|
| 5営業日後(約1週間) | −4.63% 全期間 −3.10% | +5.11% 全期間 +3.72% | −18.22% | +17.14% |
| 20営業日後(約1か月) | −4.13% 全期間 −5.18% | +10.11% 全期間 +7.95% | −16.77% | +22.98% |
| 60営業日後(約3か月) | −4.39% 全期間 −5.95% | +20.13% 全期間 +16.33% | −17.71% | +38.47% |
ただし、ばらつきも大きくなっています。5営業日後の下位10%の水準は−4.63%で、全期間(−3.10%)より下にあります。最も大きな下落は5営業日後で−18.22%、60営業日後でも−17.71%でした。一方、20・60営業日後の下位10%の水準(−4.13%・−4.39%)は全期間より高く、期間が長くなるほど、ばらつきの不利さは小さくなっています。「極度の恐怖」は、下げ止まりの近くであることもあれば、さらに大きな下落の入り口であることもあります。平均的には戻りやすくても、個々の局面では結果が大きく分かれる、というのが数字の示す姿です。
④ ほかの区分と比べると:両端の区分がともに高い
表5:区分ごとの日経平均の騰落率(中央値)と上がった割合
| 区分 | 5営業日後(中央値) | 20営業日後(中央値) | 20営業日後(上がった割合) | 60営業日後(中央値) | 60営業日後(上がった割合) |
|---|---|---|---|---|---|
| 極度の恐怖 | +0.84% | +2.26% | 65.3% | +4.64% | 67.2% |
| 恐怖 | +0.50% | +1.61% | 63.4% | +1.91% | 60.8% |
| 中立 | +0.21% | +0.72% | 57.0% | +0.18% | 51.8% |
| 強欲 | +0.21% | +0.02% | 50.2% | +1.52% | 59.2% |
| 極度の強欲 | +0.09% | +2.48% | 70.0% | +5.59% | 69.4% |
| 全期間 | +0.37% | +1.23% | 60.4% | +2.33% | 61.4% |
区分を並べると、意外な結果が見えてきます。20営業日後の中央値が最も高かったのは「極度の強欲」(+2.48%)で、上がった割合も70.0%と最も高くなりました。60営業日後でも「極度の強欲」(+5.59%)と「極度の恐怖」(+4.64%)が上位に並んでいます。一方、「強欲」の20営業日後は中央値+0.02%、上がった割合50.2%と、ほぼ五分五分でした。
つまり過去約8年のデータでは、「恐怖のときに買い、強欲のときに売る」という単純な逆張りの考え方は、そのままは当てはまりませんでした。「極度の強欲」は強い上昇相場の中で出やすく、その勢いがしばらく続いた局面も多かったと考えられます。恐怖と強欲指数は、売買のタイミングを示すサインというより、いまの市場がどのくらい偏っているかを知る温度計として使うのが適していると言えます。
⑤ 数字を読むときの4つの注意点
表6:統計を読むときの注意点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| ① 日数と局面は違う | 「極度の恐怖」は314日ありますが、局面としては37回です。同じ局面の中の日は似た結果になりやすく、実際に独立した事例は37回分と考える方が慎重です |
| ② 期間の特徴 | 2018年〜2026年は、日経平均が大きく上がった期間です。下落が長く続く時代には、同じ結果になるとは限りません |
| ③ 費用を含まない | 配当、手数料、税金は含めていません。実際の損益とは異なります |
| ④ 過去は将来を保証しない | 過去の傾向は、将来の値動きを予測・保証するものではありません |
とくに①は大切です。たとえば1つの急落局面が20営業日続けば、その20日分の結果はどれも似た数字になります。日数で見ると多くの事例があるように見えても、実際の「経験」は37回分にすぎません。
⑥ いま(10月23日時点)の位置づけ
表7:直近の日本株の指数(終値時点)
| 日付 | 日本株の指数 | 区分 |
|---|---|---|
| 10/16(金) | 34 | 恐怖 |
| 10/19(月) | 26 | 恐怖 |
| 10/20(火) | 25 | 恐怖 |
| 10/21(水) | 23 | 極度の恐怖 |
| 10/22(木) | 20 | 極度の恐怖 |
| 10/23(金) | 18 | 極度の恐怖 |
当サイトの日本株の指数は、10月21日に「極度の恐怖」に入り、23日時点で3営業日目です。過去の平均の長さ(8.5営業日)と比べると、まだ短い期間です。6つの指標のうち4つが「極度の恐怖」の区分にあり、日経平均は125日移動平均線を4.51%下回っています。過去の統計は1つの参考にはなりますが、来週はFOMCや日銀会合、米大手ハイテク企業の決算が控えており、今回の局面がどう展開するかは、こうした材料にも左右されます。
⑦ 「極度の恐怖」のときの指数の使い方
表8:指数の使い方の考え方
| 考え方 | 内容 |
|---|---|
| 温度計として見る | 指数は売買の合図ではなく、市場の心理がどのくらい偏っているかを知るための目安として使う |
| 事前に決めたルールを確認する | 積立投資の方針や資産配分など、相場が荒れる前に決めたルールを見直すきっかけにする |
| 中身を確かめる | 6つの指標のうち、何が指数を押し下げているのかを確認する(今回は株価の勢いと為替) |
| ほかの情報と合わせる | 企業業績、金利、為替、経済指標など、指数以外の材料とあわせて判断する |
当サイトでは、日々の指数の動きと内訳を市況ブログで、区分ごとの統計を統計データのページで公開しています。指数の読み方の基本は投資ガイドもあわせてご覧ください。
指数が「極度の恐怖」に入ると、「過去はどうだったのか」が気になる方も多いと思います。そこで今回は、当サイトの指数で約8年分を集計してみました。
集計してみて印象的だったのは、「極度の恐怖」のあとが平均より良かった一方で、「極度の強欲」のあとも同じくらい良かったことです。法人営業でも、「繁忙期の後は必ず落ち込む」「閑散期の後は必ず戻る」と思い込んでいると、実際の数字とずれることがあります。経験則は、数字で確かめてこそ使えるものだと感じます。
この統計は、毎日の更新とあわせて定期的に見直していきます。数字の扱い方について気になる点があれば、「サイトについて」のページに記載の連絡先からお知らせください。
※運営者の個人的な見方であり、特定の金融商品の売買を勧めるものではありません。
⑧ 用語ミニ解説
表9:この記事に出てきた用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 中央値 | データを小さい順に並べたときに真ん中にくる値。極端な値の影響を受けにくい |
| 上がった割合 | 騰落率がプラスになった日の割合(当サイトの統計ページでは「勝率」) |
| 下位10%・上位10% | データを小さい順に並べたとき、下から10%・上から10%の位置にくる値。ばらつきの目安になる |
| 局面 | 指数が同じ区分に続けてとどまった期間のまとまり |
| 営業日 | 取引所が開いている日。土日・祝日などを除く |
まとめ
- 約8年間で「極度の恐怖」は314営業日・37回。1回の平均の長さは8.5営業日でした。
- 「極度の恐怖」の日から20営業日後の日経平均は、中央値+2.26%と全期間(+1.23%)を上回りました。
- ただし、5営業日後に−18.22%の下落もあり、目先の値動きの幅は大きくなっています。
- 「極度の強欲」のあとも成績は高く、指数は売買の合図ではなく、市場の温度計として使うのが適しています。
本記事は当サイトの算出データに基づく情報提供であり、特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。過去の統計は将来の値動きを予測・保証するものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任で行ってください。