恐怖と強欲指数の6つの指標の読み方
10月の急落で何が指数を押し下げたか|Fear & Greed Index Japan
日米差(日本−米国):−6(米国株が上) 日本株の指数は10月7日の67から、26日には14まで下がりました。
ダッシュボードで表示している恐怖と強欲指数は、0〜100の1つの数値です。しかしその中身は、株価の勢い、値動きの荒さ、為替など、性格の違う6つの指標の組み合わせです。同じ「20」でも、どの指標が低いかによって、市場で起きていることは違います。この記事では、6つの指標がそれぞれ何を表し、どんなときに点数が上がり下がりするのかを整理します。そのうえで、10月の急落で指数が大きく下がった動きを指標ごとに分解し、どの指標が先に動き、どれが指数を最も押し下げたのかを、実際のデータで確かめます。
掲載日:2026年11月1日(日)|分析に使ったデータ:2026年9月15日〜10月30日の30営業日の各指標の点数(当サイト算出)。指数の計算の流れは恐怖と強欲指数とは?で解説しています。
この記事のポイント
- 6つの指標は、どれも過去1年の中での位置を0〜100の点数にしたものです。点数が低いほど「恐怖」の側を表します。
- 10月6日から26日にかけて、日次の素値は約56ポイント下がりました。最も押し下げたのは「短期の過熱感」で、下げ幅の約24%です。
- 「短期の過熱感」や「安全資産への選好」は動きが速く、「市場モメンタム」と「変動性」は動きが遅い指標です。
- 9月15日と10月21日は指数がどちらも23でしたが、「変動性」の点数は84と42で、相場の中身はまったく違いました。
① 6つの指標と、点数が上がる・下がるとき
表1:日本株の恐怖と強欲指数を構成する6つの指標
| 指標(ウェイト) | 何を見ているか | 点数が高い(強欲側) | 点数が低い(恐怖側) |
|---|---|---|---|
| 市場モメンタム(25%) | 株価が125日移動平均線からどれだけ離れているか | 株価が半年ほどの平均を大きく上回っている | 株価が平均を下回っている |
| 変動性(25%) | 株価の20日変動率(年率) | 値動きが落ち着いている | 値動きが荒くなっている |
| 株価の強さ(15%) | 株価の20営業日の騰落率 | この1か月ほどで大きく上がった | この1か月ほどで大きく下がった |
| 短期の過熱感(15%) | RSI(14日) | 短期間で上がる日が続いた | 短期間で下がる日が続いた |
| 為替(円)(10%) | ドル円の20営業日の変化 | 円安が進んだ | 円高が進んだ |
| 安全資産への選好(10%) | 株と国債の20営業日の騰落率の差 | 国債より株が選ばれている | 株より国債が選ばれている |
6つの指標は、どれも「その日の値が、過去1年(約250営業日)の中でどのくらいの位置にあるか」を0〜100の点数にしています。「変動性」だけは向きが逆で、値動きが荒いほど点数が下がります。不安が強いときほど株価が大きく上下しやすいためです。為替が入っているのは、円安が日本の輸出企業の利益を押し上げやすく、日本株の買い材料になりやすいためです。
6つの点数にウェイトをかけて足したものが、その日の「素値」です。ダッシュボードに表示する指数は、1日だけの振れを抑えるため、この素値の3営業日の平均をとっています。
② 10月の急落を指標ごとに分解する
表2:10月6日から26日までの、日次の素値の下げの内訳(当サイト算出)
| 指標(ウェイト) | 10/6の点数 | 10/26の点数 | 点数の変化 | 素値への寄与(ウェイト×変化) | 下げ幅に占める割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 短期の過熱感(15%) | 89 | 0 | −89 | −13.35 | 24% |
| 変動性(25%) | 82 | 41 | −41 | −10.25 | 18% |
| 株価の強さ(15%) | 76 | 9 | −67 | −10.05 | 18% |
| 安全資産への選好(10%) | 85 | 3 | −82 | −8.20 | 15% |
| 市場モメンタム(25%) | 29 | 0 | −29 | −7.25 | 13% |
| 為替(円)(10%) | 94 | 28 | −66 | −6.60 | 12% |
| 合計(日次の素値) | 70.4 | 14.7 | — | −55.70 | 100% |
日次の素値は、10月6日の約70から、26日には約15まで下がりました。下げ幅のうち最も大きかったのは「短期の過熱感」の約24%です。ウェイトは15%と小さめですが、点数が89から0まで、ほぼ端から端まで動いたため、寄与が最も大きくなりました。
反対に、ウェイトが25%と最も大きい「市場モメンタム」の寄与は、下げ幅の約13%にとどまっています。日経平均が高値を更新していた10月初めでも、点数は29にすぎなかったためです。10月初めの上昇でも、株価が125日移動平均線から上に離れた幅は、過去1年の中で見ると小さかったことを示しています。ウェイトの大きさと、実際に指数を動かす力は必ずしも一致しないことが分かります。
③ 速く動く指標と、ゆっくり動く指標
表3:指標ごとの動きの速さ(2026年9月15日〜10月30日、当サイト算出)
| 指標 | 1日あたりの点数の変化(平均) | 期間中の点数の範囲 | 10月8日以降、初めて25を下回った日 |
|---|---|---|---|
| 短期の過熱感 | 9.8 | 0〜89 | 10/15(木) |
| 安全資産への選好 | 9.2 | 1〜85 | 10/20(火) |
| 株価の強さ | 9.0 | 5〜76 | 10/22(木) |
| 為替(円) | 8.4 | 8〜94 | 10/22(木) |
| 変動性 | 4.0 | 37〜92 | 25未満にならず |
| 市場モメンタム | 3.0 | 0〜29 | 10/8(木) |
期間中の1日あたりの点数の変化を比べると、「短期の過熱感」「安全資産への選好」「株価の強さ」「為替(円)」は平均8〜10ポイントと速く動きました。一方、「変動性」は4.0、「市場モメンタム」は3.0と、ゆっくり動いています。速い指標は相場の変化をいち早く映す反面、1日で大きく振れます。遅い指標は、相場の流れが変わったことを確かめる役割を持っています。
今回の急落では、もともと点数が低かった「市場モメンタム」を除くと、「短期の過熱感」が10月15日に1日で38から4まで下がり、真っ先に25を下回りました。その後、「安全資産への選好」(20日)、「株価の強さ」と「為替(円)」(22日)と続いています。回復の局面でも、26日から29日にかけて最初に戻ったのは「短期の過熱感」(0→23)でした。指数が底を打ったかどうかを見るときは、速い指標が戻り始め、遅い指標がそれに続くかどうかに注目すると分かりやすくなります。
④ 同じ「23」でも、中身はまったく違う
表4:表示される指数が同じ23だった2日の、各指標の点数
| 指標 | 9月15日 | 10月21日 |
|---|---|---|
| 市場モメンタム | 1 | 1 |
| 変動性 | 84 | 42 |
| 株価の強さ | 10 | 27 |
| 短期の過熱感 | 3 | 7 |
| 為替(円) | 8 | 32 |
| 安全資産への選好 | 9 | 25 |
| 表示される指数 | 23 | 23 |
9月15日と10月21日は、表示される指数がどちらも23で、同じ「極度の恐怖」の区分でした。しかし中身を見ると、9月15日は「変動性」が84と高く、値動きは落ち着いていました。株価がじわじわと下がり、為替も円高方向の動きが目立っていた(為替の点数は8)、静かな下げです。
これに対して10月21日は、「変動性」が42と低く、株価が大きく上下する荒れた相場でした。一方で、「為替(円)」は32、「安全資産への選好」は25と、9月15日よりは高い水準にあります。同じ「極度の恐怖」でも、静かに売られている局面と、荒れながら売られている局面では、投資家が感じる不安の質が違います。指数の数値だけでなく、ダッシュボードの6つの内訳もあわせて見ることをおすすめします。
⑤ 6つの指標を読むときのコツ
表5:6つの指標を読むときのコツ(当サイトの考え方の整理)
| 見るポイント | 読み方の例 |
|---|---|
| 速い指標と遅い指標を分けて見る | 「短期の過熱感」だけが戻っている段階では、流れが変わったとはまだ言いにくい |
| 「変動性」の点数を確かめる | 点数が低いときは値動きが荒く、1日で指数が大きく動きやすい |
| 「為替(円)」の向きを見る | 円高が進むと、株価が横ばいでも指数は下がりやすい |
| 「安全資産への選好」を見る | 株より国債が選ばれている状態が続くと、投資家の慎重さが強いことを示す |
| 表示される指数と素値を区別する | 表示は3営業日の平均のため、相場が反発した日でも下がることがある |
恐怖と強欲指数は、相場の先行きを言い当てるものではなく、市場の気持ちが今どちらに傾いているかを整理する道具です。6つの内訳を見ると、「何に対して不安が強まっているのか」まで分かります。日々の動きはダッシュボードで、過去の推移は市況アーカイブで確認できます。
法人営業では、売上の合計だけを見ていると、どの取引先で何が起きているのかが分かりません。同じ前年割れでも、大口が1社抜けたのか、全体が少しずつ減ったのかで、打つ手はまったく変わります。
恐怖と強欲指数も同じで、1つの数値の裏に6つの動きがあります。今回の急落を分解してみると、ウェイトの小さい指標が指数を最も動かしていたことが分かり、作っている側としても発見がありました。
ダッシュボードの内訳の表も、ときどき眺めてみてください。数値の見え方が少し変わるはずです。
※運営者の個人的な見方であり、特定の金融商品の売買を勧めるものではありません。
⑥ 用語ミニ解説
表6:この記事に出てきた用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 125日移動平均線 | 過去125営業日(約半年)の終値の平均をつないだ線。中期の流れを見るのに使う |
| RSI | 一定期間の値上がり幅と値下がり幅から、買われすぎ・売られすぎを見る指標。0〜100で表す |
| 変動率(年率) | 株価の日々の上下の大きさを、1年あたりに換算したもの。ボラティリティとも呼ぶ |
| 寄与 | 全体の変化のうち、その要素が生んだ部分。ここではウェイト×点数の変化 |
まとめ
- 恐怖と強欲指数は、性格の違う6つの指標の組み合わせです。
- 10月の急落で指数を最も押し下げたのは、ウェイト15%の「短期の過熱感」(下げ幅の約24%)でした。
- 速く動く指標と遅く動く指標があり、底打ちを見るときは両方の動きを確かめるのが有効です。
- 同じ数値でも中身は違うため、6つの内訳もあわせて見ることが大切です。
本記事は当サイトの算出データに基づく情報提供であり、特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。過去のデータは将来の成果を保証するものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任で行ってください。