VIX・日経平均VIと恐怖と強欲指数の違いとは?
「恐怖指数」との使い分けを解説|Fear & Greed Index Japan
株式市場の「恐怖」を表す指標というと、米国のVIX指数や、日本の日経平均VIを思い浮かべる方も多いと思います。どちらも「恐怖指数」と呼ばれることがあります。一方、当サイトで紹介している恐怖と強欲指数も、名前に「恐怖」が入っています。似た名前の指標ですが、測っているもの、数値の向き、見ている時間軸はそれぞれ違います。この記事では、VIX・日経平均VIと恐怖と強欲指数の違いを表で整理し、2つを組み合わせて市場の状態を読む方法を解説します。
掲載日:2026年10月27日(火)|恐怖と強欲指数の仕組みは恐怖と強欲指数とは?で詳しく解説しています。
この記事のポイント
- VIX・日経平均VIは、オプションの価格から計算する「これから先の値動きの大きさ」の予想です。
- 恐怖と強欲指数は、複数の指標を組み合わせた「市場の心理の偏り」の目安です。
- 数値の向きが逆で、VIX・日経平均VIは高いほど不安、恐怖と強欲指数は低いほど不安を表します。
- 2つを組み合わせると、急落なのか、じわじわした下落なのかといった市場の状態を見分けやすくなります。
① VIX・日経平均VIとは
表1:VIX指数と日経平均VIの概要(OANDA・大和証券の用語解説ほか)
| 項目 | VIX指数 | 日経平均VI |
|---|---|---|
| 正式な名前 | Cboeボラティリティ・インデックス | 日経平均ボラティリティー・インデックス |
| 算出しているところ | 米国のCboe(シカゴ・オプション取引所) | 日本経済新聞社 |
| もとにするデータ | S&P500のオプションの価格 | 日経平均のオプションの価格(計算には日経平均先物も使う) |
| 表しているもの | 今後30日ほどのS&P500の予想変動率 | 今後1か月ほどの日経平均の予想変動率 |
| 別名 | 恐怖指数 | 日本版の恐怖指数 |
オプションは、将来の決められた価格で株価指数を売買する「権利」の取引です。市場の参加者が先行きの値動きが大きくなると考えるほど、この権利の価格は高くなります。VIXや日経平均VIは、このオプションの価格から逆算して、「市場が今後どのくらい値動きが大きくなると見込んでいるか」を数値にしたものです。株価が急落する局面では、下落に備える需要が高まって数値が急上昇しやすいことから、「恐怖指数」と呼ばれています。
OANDAの用語解説によると、日経平均VIは平常時には20〜30付近で推移しやすく、株価が急落すると急上昇しやすい一方、一時的に上がっても長くは高水準にとどまらない傾向があるとされています。また、株価が大きく上がる局面で上昇することもあり、値動きの大きさだけを示して、株価が上がるか下がるかの方向は示さない点に注意が必要です。
② 恐怖と強欲指数との違い
表2:VIX・日経平均VIと恐怖と強欲指数の比較
| 比べるポイント | VIX・日経平均VI | 恐怖と強欲指数 |
|---|---|---|
| 測っているもの | これから先の値動きの大きさの予想(予想変動率) | 株価の勢い・値動き・安全資産への動きなどを総合した、市場の心理の偏り |
| 数値の範囲 | 上限なし(%で表す予想変動率) | 0〜100 |
| 不安が強まると | 上がる | 下がる |
| 時間軸 | これから先(オプション価格に織り込まれた予想) | これまでの値動き(当サイトの日本株版は過去の価格データから計算) |
| 方向の情報 | 値動きの大きさだけで、上げ・下げの方向は示さない | 株価の上げ・下げの方向も反映する |
| 算出しているところ | Cboe(VIX)、日本経済新聞社(日経平均VI) | CNN Business(米国株版)、当サイト(日本株版) |
いちばん大きな違いは、数値の向きです。VIXや日経平均VIは不安が強まるほど数値が上がり、恐怖と強欲指数は不安が強まるほど数値が下がります。ニュースで「恐怖指数が上昇」と伝えられたときは、恐怖と強欲指数でいえば「恐怖」の方向に動いている、と読み替える必要があります。
もう1つの違いは、方向の情報です。VIXや日経平均VIは「値動きが大きくなりそうか」を表すだけなので、急落でも急騰でも上がることがあります。恐怖と強欲指数は、株価が移動平均線を上回っているか、直近で上がっているかといった方向の情報も含むため、「強欲」の側にも動きます。
③ 恐怖と強欲指数の中での「変動性」の扱い
表3:恐怖と強欲指数に含まれる「値動きの大きさ」の指標
| 米国株版(CNN Business) | 日本株版(当サイト) | |
|---|---|---|
| 値動きの大きさを表す指標 | 「市場の変動性」 | 「変動性」 |
| もとにするデータ | VIX指数(50日移動平均との比較) | 株価の過去20日の実際の変動率(年率) |
| 性格 | これから先の予想(オプション価格) | これまでの実際の値動き |
| 指数の中での比重 | 7つの指標のうちの1つ | 6つの指標のうちの1つ(ウェイト25%) |
CNNの米国株版は、7つの指標のうちの1つとしてVIXを使っています。一方、当サイトの日本株版は、日経平均VIではなく、株価の過去20日の実際の変動率を使っています。つまり、米国株版は「予想される値動き」、日本株版は「実際に起きた値動き」から、市場の不安の強さを測っています。
実際の例:10月16日(金)の米国市場では、VIX指数が前日より3.53上がって19.99となり、CNNの米国株版の「市場の変動性」の点数は50から4に急低下しました(当サイトの10月19日の記事)。VIXの急上昇が、恐怖と強欲指数の「恐怖」の方向への動きとして表れた例です。
④ 2つを組み合わせて市場の状態を読む
表4:2つの指標の組み合わせと、市場の状態の見方の例
| VIX・日経平均VI | 恐怖と強欲指数 | 考えられる市場の状態(見方の例) |
|---|---|---|
| 高い | 低い(恐怖) | 急落の局面。値動きが荒く、不安も強い |
| 低め | 低い(恐怖) | 値動きはそれほど荒くないが、下落がじわじわ続いている局面 |
| 高い | 高い(強欲) | 急騰の局面。上昇の勢いは強いが、値動きも大きい |
| 低い | 高い(強欲) | 落ち着いた上昇の局面。安心感が広がっている |
2つを組み合わせると、同じ「恐怖」でも中身の違いが見えてきます。たとえば、恐怖と強欲指数が低くてもVIXや日経平均VIがそれほど高くなければ、急落というより、株価がじわじわ下がり続けている局面と考えられます。反対に、2つがそろって大きく動いているときは、短期間に大きな値動きが起きている可能性が高いと言えます。ただし、これはあくまで見方の例で、実際の相場が表の通りに動くとは限りません。
⑤ どちらを見ればよいか:使い分けのポイント
表5:知りたいことと、向いている指標
| 知りたいこと | 向いている指標 |
|---|---|
| これから先、値動きが大きくなりそうか | VIX・日経平均VI |
| いまの市場の心理が、恐怖と強欲のどちらに傾いているか | 恐怖と強欲指数 |
| 心理の偏りが、何によって生じているか | 恐怖と強欲指数の内訳(各指標の点数) |
| 日々の変化をすばやく知りたい | VIX・日経平均VI(取引時間中も刻々と動く) |
| 流れを落ち着いて見たい | 恐怖と強欲指数(当サイトの日本株版は3営業日の平均) |
どちらの指標も、将来の株価の上げ下げを予測するものではありません。VIXや日経平均VIが高いからといって株価が必ず下がるわけではなく、恐怖と強欲指数が低いからといって必ず戻るわけでもありません。当サイトのデータ分析の記事でも紹介したように、「極度の恐怖」のあとに株価が戻った例が多い一方で、さらに大きく下げた例もあります。指標は、売買の合図ではなく、市場の状態を知るための温度計として、ほかの情報とあわせて使うのが基本です。
ニュースで「恐怖指数が急上昇」と聞くと、つい当サイトの恐怖と強欲指数も上がったのかと思ってしまいますが、実際は向きが逆です。名前が似ているからこそ、違いを一度整理しておきたいと考えました。
法人営業でも、「受注残」と「見込み案件」はどちらも将来の売上に関わる数字ですが、確かさも意味も違います。似た数字ほど、何を測っているのかを意識して使い分けることが大切だと感じます。
当サイトでは、日々の市況ブログで米国株版の「市場の変動性」の動きもあわせてお伝えしています。VIXの動きと見比べていただくと、2つの指標の関係がより分かりやすくなると思います。
※運営者の個人的な見方であり、特定の金融商品の売買を勧めるものではありません。
⑥ 用語ミニ解説
表6:この記事に出てきた用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ボラティリティ | 価格の変動の大きさ。年率の%で表すことが多い |
| 予想変動率(インプライド・ボラティリティ) | オプションの価格から逆算した、市場が見込む将来の変動率 |
| 実現変動率(ヒストリカル・ボラティリティ) | 過去の実際の値動きから計算した変動率 |
| オプション | 将来の決められた価格で、ある資産を売買する権利の取引 |
| Cboe | 米国の取引所グループ。VIX指数を算出している |
まとめ
- VIX・日経平均VIはこれから先の値動きの大きさの予想、恐怖と強欲指数は市場の心理の偏りを表します。
- 数値の向きは逆で、VIX・日経平均VIは高いほど不安、恐怖と強欲指数は低いほど不安です。
- 米国株版はVIXを指標の1つに使い、当サイトの日本株版は過去の実際の変動率を使っています。
- 2つを組み合わせると、急落か、じわじわした下落かといった市場の状態を見分けやすくなります。
本記事は指標の仕組みについての情報提供であり、特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任で行ってください。