新NISAの積立と恐怖と強欲指数の付き合い方
「恐怖」の日に積立を止めたら?約8年分のデータで考える|Fear & Greed Index Japan
日米差(日本−米国):−16(米国株が上) 日本株の指数は10月21日から「極度の恐怖」の区分にあり、29日で7営業日目です。
10月半ばからの急落で、当サイトの日本株の恐怖と強欲指数は「極度の恐怖」の区分に入りました。こうした時期には、新NISAで積立をしている人の中にも「いったん止めたほうがいいのでは」と迷う人が増えます。この記事では、当サイトの指数を2018年5月から2026年10月まで約8年分さかのぼり、「恐怖」以下の日がどのくらいの頻度で来たのか、その日に買っていたらその後どうだったのかを集計しました。そのうえで、積立をしている人が恐怖と強欲指数をどう使えばよいのか、使わないほうがよいのはどんな場面かを整理します。
掲載日:2026年10月30日(金)|集計期間:2018年5月25日〜2026年10月23日(2,053営業日)|データは当サイトの統計データのページと同じものです。指数の仕組みは恐怖と強欲指数とは?、「極度の恐怖」だけを詳しく見た分析はこちらの記事で解説しています。
この記事のポイント
- 約8年間で、指数が「恐怖」以下(0〜44)だった日は867営業日(42.2%)。毎月積み立てていれば、4割前後の買い付けは「恐怖」以下の日に当たる計算です。
- 「極度の恐怖」の局面は約8年間で37回、年に4回程度来ていました。珍しい出来事ではありません。
- 「恐怖」以下の日から60営業日後の日経平均の騰落率は、平均で+4.47%。それ以外の日(+3.19%)を上回りました。
- ただし、どの区分から買っても3か月後に下がっていた日が3〜5割ありました。指数は「買う日を選ぶ道具」より、自分の気持ちを点検する道具として使うのが向いています。
① 新NISAの積立のおさらい
表1:新NISAの主な仕組み(2026年10月時点。制度改正の予定はImpress Watchの報道による)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| つみたて投資枠 | 年間120万円まで。長期の積立・分散投資に向く、一定の条件を満たした投資信託などが対象 |
| 成長投資枠 | 年間240万円まで。上場株式や投資信託などが対象 |
| 非課税で保有できる上限 | 1人あたり1,800万円(成長投資枠はそのうち1,200万円まで) |
| 非課税の期間 | 無期限 |
| 今後の改正(予定) | 2026年度の税制改正大綱で、0〜17歳を対象とする「こどもNISA」(年間60万円、上限600万円)を2027年から導入する方針 |
新NISAのつみたて投資枠は、毎月一定の金額で投資信託を買い続ける使い方が中心です。金額を決めて自動で買い続けるため、株価が高い月には少なく、安い月には多くの口数を買うことになります。この買い方は「ドル・コスト平均法」と呼ばれ、積立の仕組みそのものに「安いときに多く買う」働きが組み込まれているといえます。それでも、相場が大きく下がると評価額のマイナスが目に入り、「止めるべきか」と迷いが出てきます。ここからは、その迷いをデータで整理していきます。
② 「恐怖」はどのくらいの頻度で来るのか
表2:区分ごとの日数と局面の数(2018年5月〜2026年10月、当サイト算出)
| 区分 | 日数 | 割合 | 局面の数 | 1年あたり | 1回の平均の長さ |
|---|---|---|---|---|---|
| 極度の恐怖 0〜24 | 314 | 15.3% | 37回 | 4.4回 | 8.5日 |
| 恐怖 25〜44 | 553 | 26.9% | 92回 | 10.9回 | 6.0日 |
| 中立 45〜54 | 313 | 15.2% | 109回 | 13.0回 | 2.9日 |
| 強欲 55〜74 | 536 | 26.1% | 87回 | 10.3回 | 6.2日 |
| 極度の強欲 75〜100 | 337 | 16.4% | 32回 | 3.8回 | 10.5日 |
約8年間で、指数が「恐怖」(25〜44)か「極度の恐怖」(0〜24)だった日は合わせて867営業日、全体の42.2%でした。「強欲」以上の日(42.5%)とほぼ同じ割合です。「極度の恐怖」の局面は37回、1年あたりに直すと約4.4回で、1回の長さは平均8.5営業日でした。
毎月決まった日に積み立てている場合、買い付け日の指数の区分は、おおむねこの割合に近くなると考えられます。つまり、積立を続けている人の買い付けの4割前後は、市場が不安に傾いている日に行われている計算です。「恐怖」の時期は、長く投資を続けていれば何度も通る、ありふれた場面だといえます。
③ 「恐怖」の日に買っていたら、その後どうだったか
表3:買った日の区分と、その後の日経平均の騰落率(当サイト算出。区分ごとの集計を日数で加重平均)
| 買った日の区分 | 日数(60営業日後) | 20営業日後の平均 | 60営業日後の平均 | 60営業日後に上がっていた割合 |
|---|---|---|---|---|
| 「恐怖」以下(0〜44) | 815 | +1.70% | +4.47% | 63.1% |
| それ以外(45〜100) | 1178 | +0.89% | +3.19% | 60.2% |
| 全期間 | 1993 | +1.23% | +3.72% | 61.4% |
「恐怖」以下の日を起点にすると、60営業日後(約3か月後)の日経平均の騰落率は平均+4.47%で、それ以外の日(+3.19%)より約1.3ポイント高くなりました。20営業日後(約1か月後)でも、+1.70%と+0.89%で同じ傾向です。
ここから分かるのは、「恐怖」の日に積立を止めると、過去のデータではその後の成績が比較的よかった日の買い付けを手放していたことになる、という点です。不安なときに止めて、落ち着いてから再開するという行動は、気持ちのうえでは自然ですが、結果として「高い日にだけ買う」形に近づいてしまいます。
この集計は日経平均の終値ベースで、配当・売買コスト・税金は含みません。また、期間が重なる日を多く含むため、件数ほど独立したデータではありません。過去の傾向が今後も続くとは限りません。
④ どの区分から買っても、下がる日は3〜5割ある
表4:区分ごとの60営業日後の日経平均の騰落率(当サイト算出)
| 買った日の区分 | 60営業日後に上がっていた割合 | 下がっていた割合 | 下位10%の水準 | 最も悪かった例 |
|---|---|---|---|---|
| 極度の恐怖 | 67.2% | 32.8% | −4.39% | −17.71% |
| 恐怖 | 60.8% | 39.2% | −6.08% | −17.03% |
| 中立 | 51.8% | 48.2% | −6.12% | −21.21% |
| 強欲 | 59.2% | 40.8% | −6.39% | −27.42% |
| 極度の強欲 | 69.4% | 30.6% | −6.00% | −31.22% |
| 全期間 | 61.4% | 38.6% | −5.95% | −31.22% |
一方で、「恐怖」の日に買えば必ず報われるわけではありません。「極度の恐怖」の日から買っても、60営業日後に下がっていた日は約3割あり、最も悪い例では−17.71%でした。逆に「極度の強欲」の日から買っても、60営業日後に上がっていた割合は69.4%と高い結果です。
区分によって成績に差はあるものの、どこから買っても「下がる日」は一定の割合で混ざっています。指数を見て買う日を選ぼうとしても、外れる日を避けきることはできません。毎月同じ金額で買い続ける積立は、この「当たり外れ」を時間で均すための方法だと考えると分かりやすくなります。
⑤ 積立をしている人の、恐怖と強欲指数の使い方
表5:積立をしている人の指数の使い方(当サイトの考え方の整理)
| 場面 | 向いている使い方 | 注意したい使い方 |
|---|---|---|
| 指数が「極度の恐怖」 | 「今は市場全体が不安に傾いている」と確認し、自分の不安を客観視する | 積立を止める・売るといった判断の合図にする |
| 指数が「極度の強欲」 | 楽観に流されて、生活資金まで追加で投資していないか点検する | 「そろそろ下がる」と決めつけて積立を止める |
| 相場の急落が続く | 過去にも年4回程度は「極度の恐怖」があったことを思い出す | 毎日の数字の上下に合わせて、設定を何度も変える |
| 積立の設定を見直す | 収入や生活費の変化に合わせて、金額が無理のない水準か確かめる | 指数の水準だけを理由に金額を大きく変える |
恐怖と強欲指数は、市場参加者の気持ちが今どちらに傾いているかを、数字で表したものです。積立をしている人にとっては、「買う日を選ぶ道具」としてよりも、「周りの不安に自分も引っ張られていないか」を確かめる鏡として使うほうが、役に立ちやすいと考えています。たとえば、指数が「極度の恐怖」のときに積立を止めたくなったら、それは市場全体と同じ気持ちになっているサインです。そこで一度立ち止まり、止める理由が「相場」なのか「自分の家計」なのかを分けて考えるとよいでしょう。
もちろん、家計の事情で積立の金額を減らすことは、まったく問題ありません。生活資金や近いうちに使うお金まで投資に回していると、急落のたびに売らざるを得なくなります。指数の水準より先に、「このお金は数年使わない」と言える金額で積み立てているかどうかが、続けられるかどうかを左右します。
⑥ 今回の「極度の恐怖」を過去と比べると
表6:今回の局面と過去の平均(当サイト算出)
| 項目 | 今回(2026年10月) | 過去の平均(約8年) |
|---|---|---|
| 「極度の恐怖」に入った日 | 10月21日 | — |
| 続いている長さ | 7営業日(29日時点) | 8.5営業日 |
| 指数の最低値 | 14(26日) | — |
| 1年あたりの回数 | — | 約4.4回 |
今回の「極度の恐怖」は、29日時点で7営業日続いています。過去の平均の長さ(8.5営業日)に近づいていますが、平均はあくまで目安で、もっと長く続いた局面も短く終わった局面もあります。日々の動きは、市況アーカイブやダッシュボードで確認できます。
法人向けの営業では、景気が悪くなると真っ先に販促や備品の予算が削られます。ただ、そういう時期にも取引を続けてくれた取引先とは、景気が戻ったときに一番強い関係が残っていました。
積立も少し似ていて、続けることそのものに意味がある仕組みだと感じます。不安なときに止めて、安心してから戻るのは自然なことですが、データで見ると、その間に手放していたものも見えてきます。
この記事が、恐怖と強欲指数を「売り買いの合図」ではなく、自分の気持ちを落ち着かせる道具として使うきっかけになればうれしいです。
※運営者の個人的な見方であり、特定の金融商品の売買を勧めるものではありません。
⑦ 用語ミニ解説
表7:この記事に出てきた用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| つみたて投資枠 | 新NISAのうち、長期の積立・分散投資に向く投資信託などを年間120万円まで買える枠 |
| ドル・コスト平均法 | 一定の金額で定期的に買い続ける方法。価格が安いときは多く、高いときは少なく買うことになる |
| 60営業日後の騰落率 | ある日の終値から、取引日で60日後(約3か月後)の終値までの値上がり・値下がりの割合 |
| 加重平均 | 件数の多いグループほど重く数えて計算した平均 |
まとめ
- 約8年間で、指数が「恐怖」以下だった日は42.2%。積立をしていれば、何度も通る場面です。
- 「恐怖」以下の日から60営業日後の騰落率は平均+4.47%で、それ以外の日(+3.19%)を上回りました。
- ただし、どの区分から買っても下がる日は3〜5割ありました。
- 指数は、積立の売り買いの合図より、自分の気持ちを点検する道具として使うのが向いています。
本記事は公開情報と当サイトの算出データに基づく情報提供であり、特定の金融商品の売買や投資手法を勧誘・推奨するものではありません。過去のデータは将来の成果を保証するものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任で行ってください。